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2013.05.29

いいものは美しい

 昨日、うちの職場にあったパナソニック製3管式プロジェクターを分解した。もう、誰も使わず、電源も供給されていない。稼働可能なのか、故障しているのかすらわからないが、いずれにせよ、もう、誰も使わない。逆に、こいつがあると、液晶プロジェクタを吊り下げる邪魔になるのだ。そのため、去年から、引きずりおろして廃棄にしてくれと事務に頼んであった。事務は事務で当然なのだが、電気製品を降ろすので、電気屋に見積もりを取ろうとする。いや、降ろすだけなんだから、業者でなくてもいいんですけど。

 んなら、自分で降ろせばよさそうなものだが、なんせ、小型とは言え直径20cm近いブラウン管プロジェクタを3本もかかえているのだ。重さを計ったわけじゃないが、15~20kgは確実にある。しかも、それが天井からぶら下がっているのだ。脚立で降ろせるものじゃない。春休み、一度試してみて諦めた。

 ところが、昨日、ふと思い立った。生徒用机2段+教卓で、ほぼその高さになる。少しずつ降ろせばできるんでない?やってみた。なんとか天井からの分離に成功し、あとは、隣に机を重ねて30cmくらいずつ降ろしていって、小一時間で床まで到達した。

 しかし、こんなクソ重いものを4階から不燃物置き場まで運ぶ根性と体力はない。屈強な若い同僚に頼むと言うテはあるんだが、それも申し訳ないほどに重い。そこで、分解することにした。分解すれば、軽くなるし、うまくいけば筐体を利用して液晶プロジェクタの台を作ることができるかもしれない。高電圧部分も、年単位で通電されていないから放電されており、まず問題なかろう。

 さっそく分解を始めた。いまどきの機器は、省力化のためにはめ込みで作っているものが多く、分解もシャーシの分離が最大の難点である。しかし、このプロジェクタは、+ドライバ1本でさくさくと解体できるのだ。5分ほどで表面シャーシがはずされ、基板が顔を見せた。しかも、配線は全てコネクタ接続になっているため、さくさくと抜くことができる。配線も、きれいにまとめてあるので、分解は非常に容易である。もし、これが壊れても、修理も容易であったろう(もっとも、今となってはパーツもないだろうが)。

 驚いたことに、+ドライバだけで、ほぼすべてのパーツを分解することができた。配線をペンチで切ったのは、シャーシの穴を通した後、シャーシ実装されたパワートランジスタに半田付けされていた4本だけ。あと、吊り下げ金具に用いられていたボルトを抜くのに、2回、スパナを使っただけで、全てのパーツがばらばらになった。ここまで30分かかっていない。すばらしい設計である。

 配線の取り回し、コネクタ間の距離、全て計算しつくされ無駄がないように設計されている。また、筐体内に無駄な隙間は全くない。これぞ、日本の設計である。設計の職人、組み立ての職人。まさにプロの仕事。こういうプロを、今の企業は大切にしているのかなぁ?

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コメント

あびさん、こんばんは。

 ほんっと、大企業の生産現場を支えている人たちがこういう人なんですよね。決して表舞台には出てこない。評価されることは、まずない。企業の経営者も、こういう人たちの存在を知らない人もいるんじゃないかな?原発事故現場のトラブルなんかも、こういう人たちがいないからじゃないのかなぁ?理論と実際の隙間を埋める人たち。

投稿: 井村 瑶茉 | 2013.06.02 20:58

一時期の日本の製品は、本当に見えない部分が美しくできていました。美しさは性能の良さにもつながるのですが、職人芸でもあるためコストがかかるため、コストを下げなければ売れない現場では、継承されずに消え去ろうとしています。
その職員たちは、どこに行ったのでしょうか一時的とはいえそのような技術を欲しがる国に去って行ったと思われます。もう取り返すことのできない日本の技術。他国で継承されるので失われるわけではありませんが、さびしくもあります。経営陣や発明に金を出すのも良いでしょうが、技術にもお金を出してほしいものです。芸術ではなく、技術に。

投稿: あび | 2013.05.30 22:01

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